営業の仕事をしているなかで病院での経験が役に立つことはありますか?

「まだ直接的な仕事に関わっていないので、どこまで役に立つかわからないですね。でも、やっぱり自分が使ってきた医療機器なので、自身の使用経験「自分はこう使っていました」とか、そういうのは、結構お客さんに響くみたいなんですよね。ダメな部分はなるべく話さないようにはしていますが、出来るだけ屈託無く話させてもらっています。」

 

営業部で技師じゃない方はいらっしゃいますか?

「工学部や臨床検査技師、もちろん放射線技師の方、いろんな経歴の方がいらっしゃいますね。」

 

病院からGEに移った経緯を教えてください

「理由は1つでは無くて、いろいろあります。その中でいくつか上げるとすると、まずは、自分が総合病院で22年間ずっとMRIをやってきてそこでの「伸びしろ」じゃないですけど、一人で出来ることの限界を少し感じ始めていました。MRIの業界に限らずですが、医療機器は技術の更新がものすごく速いんです。毎年新しい技術が出てきて、それを頭に入れながら時代の流れに遅れないように勉強をしてきました。実際に病院はどれくらいのサイクルでMRIが更新されるかというとおおよそ今は10年から15年と言われています。それを超えると修理するときの部品が無くなってしまいます。ということは、病院勤務では新しい技術は10年から15年の間に1度しか使えないということになります。一方、企業では毎年更新される技術やアプリケーションに常にふれあうことができます。それが一番の理由になるかと思います。

あとは今まではMRI室というせまい部屋の中でずっと黙々と仕事をしていました。それはそれで個人的にはすごく好きなんです。MRIの写真撮るのが大好きで、自分の好きなことやって患者さんが助かるわけじゃないですか。こんなに良いことはないと。だから病院での仕事も嫌いでは無かったのですが22年やってきて自分の先が見えてきたところで、またちょっと先の見えない仕事をしてみようかなと、そういう流れだと思います。実際に企業では出張が多いので、先週も日帰りですけど中部・関西方面に足を運んだりもしています。」

 

学生が就職するにあたって病院と企業のそれぞれの良さ・悪さを教えてください

「難しいですね。学生さんはどんな可能性も持っていると思うので、皆さんが病院に行けば病院に行っただけの仕事をすると思うし、企業にいけば企業に行くだけの仕事をすると思うんですよ。普通はね、ここの駒澤大学を卒業すると9割の人は診療放射線技師で、残りの一割の方が病院以外の仕事ね、僕みたいな企業に勤める人もいますし、放射線と全く関係の無いに就く人もいます。一概にどちらが向いているとか言うのは難しいのですが、ただやっぱり大きな違いがあって、病院は患者さんに対して行う医療サービス、企業は医療ビジネスになるんですね。それって同じ医療でそんなに大きく違わないかなという印象ありますけど、実際に入ってみるとそこの違いはものすごく感じます。病院の業務は、一人一人の患者さんに向き合い、仕事を完結していきます。一方、企業ではうん千万・何億ってする装置を病院に売り込むことが仕事になります。病院としてはプログラムを組んで予算を立ててくるので、一つの仕事(商談)にかかる時間が半年とか1年とか掛かります。この値段の買い物を衝動買いって普通しませんからね。一つの業務に対する時間的な流れというのも大きく異なると思います。

医療サービスと医療ビジネスの良し悪しは、個人によって考え方が違うので何をもって良し悪しとするかは難しいところですね。」

GEヘルスケア・ジャパン株式会社 五十嵐太郎氏 ③へ