企業・病院はどのような学生を求めていますか?

「会社側が何を求めているかってことですよね。まあ、でもどっちも共通しているのは、顧客、ようするに企業だったら病院、病院だったら患者さんがどの様なことを求めているかっていうことを考えて仕事をするっていうのが大事だと思います。自分の強みをその顧客のためにどう使うかっていう事が、大事だと思います。あとは自分の所属する病院・会社の部門の一員として共に頑張っていこうという気概のある学生さんが良いのでしょうね。」

 

もし22年前に病院・企業の両方からオファーが来たらどちらを選んでいましたか?

「病院でしょうね、きっと。現在、企業で仕事をしていることも、診療放射線技師としてのバックボーンがあるからなので。ただね、少し話はそれますが、僕は就職して10年くらいは勉強もろくにせずにほぼ遊んでいました。定時になったら帰って、今日は何しようかなって。もし一年目からもっと、しっかり仕事していたらスーパー放射線技師になっていたかもしれないですけど、はじめからそれじゃ長続きしなかったと思うし、今の僕は無いと思います。あのとき遊んでいたダメな自分があるから今の僕があるんだと思いますよ。だから、今と同じ道を歩むんじゃないかなとおもいますよ。なので、これまでの自分の選択にネガティブな考えは持ったことは全くないですね。みなさんも今のうちにたくさん遊んでいろんなことしてください(笑)。」

 

10年間は遊んでいたとのことですが、何か転機となるような出来事があったのですか?

「なんでしょうね、あまり考えたことはないですが・・・。強いてあげるのであれば結婚したことが一つの転機になっているかもしれません。ただ、皆さんが思っているような、結婚して考え方が変わったとか、家族のために働かなきゃとか言うかっこいい話じゃないんですよ。かなり現実的な話になりますけど、結婚するとお金がかかるんですよ・・・。そうなると自分の趣味にお金が使えなくなってくるんです。さてどうしようかなと思ったときに、どうせ仕事なら毎日するし、これが趣味になればいいやぐらいの感じですね。もとから写真撮るのは嫌いじゃなかったし、MRIを趣味にするかというくらいの軽い考えですね。それならお金もかからないし、逆を言えば自分の好きなことをしてお金もらえるし(笑)。これが転機といえば、転機ですかね。」

 

どんな学生時代を過ごしていましたか?

「学生時代は、ほとんど勉強していませんでしたよ。勉強してなかったし、ほとんど寝ていました。一週間のうち2.3時間起きてれば良い方みたいな感じ。先生にも「お前が起きている」 ってびっくりされたこともあるし。そもそも自分が診療放射線技師になった理由っていうのが、 ものすごく微妙なところなんです。僕は高校が駒澤大学高校だったのですが、成績がイマイチ良くなかったんですよ。高校受験終わって高校入ったらもう気が抜けちゃったんでしょうね。  担任の先生に「お前はスポーツ推薦か」って言われるくらい(笑)。それでこれはまずいってことになり、2年・3年ってちょっとずつ成績を上げていったんですけど、入れる学部が放射線科だけだったんです。それだけです、理由は。実際に入ってから放射線科が放射線技師になる学科だとわかったのも入学後です(笑)。」

 

他の先輩方に話を聞いていても学生時代遊んでいましたっていう人の方が多い気がします。

「学生が勉強しないことを推奨するようなことを言うのはちょっとあれですけど、実際に僕の同級生で活躍している人たちも学生時代成績が良くなかった人が多い気がします。これをもって成績悪い人が活躍するとかそういうことではないですけど、結局のところは仕事って学生時代の成績だけではないんだと思います。 って先生に聞こえないように(笑)。」

 

比較的活躍している方たちは学生時代勉強してなかったとおっしゃりますが、逆に、学生時代にまじめに勉強していらした方たちは今どうなっているのでしょうか。

「まじめに勉強してきた人って、基本的に賢い人達なんでしょうね。自分の同級生に限ってなんですけど、落ち着いて普通に仕事をしている人が多いかと思います。だから無難という言い方はあまり良くないのですが、失敗している人はいないと思います。仕事って応用問題が多いんだと思います。応用問題を解くには基礎が大事になると思うので。学生時代の勉強は「基礎」の部分になるのだと思いますから、しっかりとした基礎が無ければ応用もできませんからね。」

 

休みの日は何をしていますか?

「ほぼ子守ですね。こどもと遊んでいます。ただそれもやらされているとかじゃなくて、こどもと遊んでいるのは楽しいので。子育て楽しいですよ、リアル育成ゲームみたいで。ゲームじゃないですけどね(笑)。自分の生き写しが育っていくのは面白いですよ。」

 

お子さんは先生に似ていますか?

「顔はそっくりです、二人とも。上のお姉ちゃんは中学二年生ですけど、性格もそっくりです。下の子は性格は似ていませんが愛らしいキャラクターです。」

 

長年、駒澤の学生をみてきて、なにか変化はありましたか?現在の学生はどうですか?

「正直あまり変化は無いと思っています。強いて言うならば今の学生の方が「まじめな子が多いかな」って感じがします。ただし僕は週1回でしか講義をしていないから、それこそ、学生一人に対しては半期に1回しか見てないわけじゃないですか。その中でみんながどこまで自分を出しているかってのもあるでしょう。でも基本的には変わってないと思います。もちろん時代が違うので、例えばそのときの流行りとか使うツールが違うとかファッションが違うとかね。そういうのは当然ありますけど中身は変わってないかなと。

とくに駒澤の学生は、インタビューの場だからこういうこと言うのではなくて、僕本当に大好きなんです。駒澤に限らずなんですけど学校ごとに結構、「色」があるんですよ。駒澤出身の子は場の雰囲気を作ってくれる子が多い気がします。良い意味で緩いんです(笑)。たぶんそれは駒沢大学医療健康科学部が、文系の中にある唯一の理系の学部だからなのかと思います。患者さんに緩く接するというのはあり得ないことですが、四六時中気を張って仕事をすることも難しいと思うんですよね。そんなにギスギスした職場ではみんなストレスがたまってしまうので。でもその中で駒澤の学生は良い雰囲気を作ってくれる人が多い気がしているので、みなさんにはそういう部分も期待しています。」

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